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シリアの花嫁

「シリアの花嫁」を観た。
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結婚式の今日は、花嫁モナにとって最高に幸福な日となるはずだ。しかしながら、彼女の姉のアマルは悲しげな顔をしている。なぜなら、一度“軍事境界線”を越えて花婿のいるシリア側へ行ってしまうと、二度と家族のもとへ帰れないのだから。彼女たちをはじめ、家族もみな、国、宗教、伝統、しきたり…あらゆる境界に翻弄され、もがきながら生きていた。モナは決意を胸に境界線へと向かうが、そこで思い掛けないトラブルに見舞われ…

パスポートが「無国籍」って、どういうことなの・・・

あまり馴染みの無いイスラエル映画です。2004年のモントリオール世界映画祭でグランプリ、各国の映画祭で様々な賞に輝いた作品ということで鑑賞。


中東問題というのはものすごーく複雑なので、きっちり理解してる人というのは中々いません。私もボンヤリとしかわからないし、シーア派とかスンニ派とか言われても、対立してるってことくらいはわかりますが、その詳しい歴史上の原因まではよくわかりません。この映画に出てくる人たちはそんな中でもかなり特殊な立場にいる「ドルーズ派」、そして彼らの住んでいるゴラン高原という地域がまた特殊で、シリア領だったゴラン高原を昔イスラエルが占領、何十年もそのままで現在に至るという地域なんですね。住民達には一応イスラエル国籍を得る権利が与えられているのですが、シリアへの帰属意識の高さからそれを拒否、「無国籍」のまま生活している人がほとんどというわけです。

そんな無国籍の家族の一人の娘がシリア側へと嫁ぐとどうなるか、出国は出来てもイスラエル側に戻ってくることはもう二度と出来なくなるんですね。しかも花婿がどんな人間かもよくわからない。自由な恋愛結婚もままならない世界なのでしょう、会った事も無い人間の下へ嫁ぐってどんな気持ちなんでしょう。決して戻ってくることも出来ず、二度と家族にも会えなくなるのです。嫁ぐ娘も、送り出す家族も、どういう気持ちになるのか想像もつきません。寂しさ、不安、かすかな希望、そんなものが入り混じった何とも言えない彼らの表情を見ていると、こっちまで何だか胸が苦しくなってしまいますね。
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どういういきさつでこの結婚話が成立したのか、それは詳しくは説明されていませんが、どうやら花嫁と花婿は親戚(!)ということらしい。シリア領側に花嫁の弟がいたので、おそらく1967年にイスラエルがゴラン高原を占領した際に分断された親類が、彼のツテでイスラエル側の彼女との婚姻話を成立させてシリアに彼女を呼び寄せる、そんなところでしょうか。旦那の方も「今日結婚するんだけど、嫁のことは写真でしか見た事無い」なんて不安気に話していたシーンが印象的です。どちらも不安なんですね。彼らが始めて出会う場所は軍事境界線、金網と鉄柵を挟んでウェディングドレスを着た花嫁とタキシードを着た花婿が初めて対面するなんて、日本人の我々からしたらちょっと想像がつきません。
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90分程の作品なのですが、結婚へ向かう彼女を中心として、姉、弟、父親たちが宗教やしきたり、地域社会の狭間で苦悩する姿が絶妙なバランスで描かれています。気持ちよりもしきたりや建前を重んじる社会というのは昔の日本も同じですが、こうやって観るとなんともやりきれない気持ちになってしまいます。そんな社会の中だからこそ、家族のつながりというのはより強固なものなのかもしれませんね。


「シリアの花嫁」
★★★★☆☆
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ゴラン高原について→解説サイト
PKO活動の一環として現在に至るまで自衛隊も派遣されている→wiki
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Comment

おお、baohさん、すごくすごく良くまとめられていて、立派ですー!
本当にbaohさんは、どう出るか分からなくて面白い人ですね!

そうなんですよね。しかも、彼女の族する一族のそれぞれが、皆いろんな問題を抱えているんですね。
これ、内側の人が見たら、こうした複雑怪奇な人間関係を、よくぞここまでまとめたな、という感じなんでしょうか。

ところで、シリア・ヨルダンは、意外に日本から行ってみたい国、として挙げる人も多いんですよ最近。
私も、もう少しこの辺に関しては、もっともっと勉強しなくては。それでも、満足いくレベルになるのは難しそうかなあ、なんて思ったりもします。(諦めモードじゃんか・・)

>>とらねこさん
立派て(苦笑)

とにかくこの作品、一家の人間関係から街のしきたりみたいなことまで、90分の尺によくぞここまでキレイにまとめたなぁという印象ですよね。とにかくうまい。人間ドラマで感動するってほどではないんですけど、社会派ドラマとして感じる部分も多かったし、「秀作」って言葉がピッタリな作品だと思いました。
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