まぼろし 

「まぼろし」を観た。
mabo.jpg

マリー(シャーロット・ランプリング)とジャン(ブリュノ・クレメール)は、幸せに連れ添って25年になる50歳代の夫婦。例年の夏のように、フランス南西部のランド地方にヴァカンスにやってきた2人だったが、マリーが浜辺で昼寝している間に、夫が突然消えてしまう。

なんでフランス映画のタイトルが毛筆なのかよくわかりませんが、妙にこのパッケージと合ってますね。肩の手が一見、心霊写真のようにみえないでもないのですが、ホラー映画ではありません。オゾン監督の死をテーマにした三部作の第一弾ということで鑑賞してみた。




シャーロット・ランプリングという女優さんはなんでこんなに憂いがあるんでしょう。役どころがどうとかストーリーがどうとかいう以前に、見た目からして重いです。このパッケージの表情なんて演技を超えてますね。いろんなものを内に貯め続けて長い年月を生きてきたかのような味わい深さがあります。でも彼女はこれが素なんですね。こういう顔なんです。彼女が爆笑してるところなんて全く想像できません。常に何かを貯めこんでるような、全く感情が読めない表情がこのオゾン監督の作品に非常にマッチしています。
souslesable02bis.jpg

長年連れ添った夫が海に消えて・・・というところから始まるこの物語。どう考えても絶望的な状況なのに、彼女はそれを受け入れないんですね。決して「夫が死んだ」とはいわない。それどころか友人との食事中に「昨日ダンナがさ〜」なんて言い出すから、周りの人たちは「アイタタタ」なんて表情ですよ。見かねた友人たちが「旦那は死んだのよ。気をしっかりもって!」なんて言おうものなら「(∩゚д゚)アーアーきこえなーい」ですからね。これだけならただのキ○ガイということでめでたしめでたしなんですが、そうならないところがオゾンマジックなんですね。

夫のまぼろしを見ながら日常生活を送る彼女、ホントのところはわかってるんですね。でも認めたくない。死体もあがってない。どう考えても死んでるけど、そんなことは認められない。まるで現実と妄想の狭間を浮遊してるかのような状態なんです。これがシャーロット・ランプリングの持ち前の表情がハマりまくってて秀逸です。

そんな見えないフリをし続ける生活を送る彼女でしたが、ついに死体があがってしまうんですね。死体という動かしようのない現実が彼女の目の前に現れるわけです。そこで彼女の下した選択とは・・・

なんとも言い難い余韻の残るラストでしたが、身内や愛するものが忽然と姿を消したあとって、こういう気持ちになるものなんだろうな、なんて妙に納得してしまいました。北朝鮮の拉致問題にしたって、本人がでてきたからこそ、「生きてた」という確信がもてるのであって、行方不明のまま何十年もすごしてきた身内の方々にすれば、それこそ「まぼろし」を見続ける毎日を送ってきたのかもしれない。

平成15年の統計によると、年間10万人にも上る行方不明者が家出人捜索願件数として届けられています。このうち9万人は発見されているのですが、残りの1万人は不明のままというからなんだか怖くなります。映画の趣旨とはすこしズレてるような気もしますが、そんなことを考えずにいられない作品でした。


「まぼろし」
★★★★☆☆

記事が気に入りましたらクリックお願いします!→映画ブログランキング


underthesand.jpg

souslesable2.jpg

souslesable.jpg

コメント

TBさせていただきました

静かな映画でしたが、情感豊かで素晴らしかったです。

>タウムさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
いい映画でしたよね。なんとも言えない余韻の残る作品でした。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://baoh777.blog15.fc2.com/tb.php/331-3de54107

ユナイテッド シネマの都−DVD

西洋においては、「映画の父」とされるフランスのリュミエール兄弟によって発明された、「シネマトグラフ」がその始まりとされている。
  • [2006/10/30 10:48]
  • URL |
  • ユナイテッド シネマの都−DVD |
  • TOP ▲

まぼろし/Sous le Sable

ず〜っと観よう観ようと思ってたフランソワ・オゾン監督の2001年の作品。公開中の「ぼくを葬る」が良かったのでいよいよ観ることに。。。何の前触れもない、愛する夫との別れ、、、、夏のバカンスで海に出かけた、結婚25年目の50代夫婦。浜辺でうとうとしていると、夫ジャン
  • [2006/11/01 09:17]
  • URL |
  • 我想一個人映画美的女人blog |
  • TOP ▲

ユナイテッド シネマの都−ビデオ

映画といえば、本来は映画館で見るものである。最近では、テレビの大画面化が進んでおり、かなりダイナミックな映像を楽しむことができるように
  • [2006/11/01 19:57]
  • URL |
  • ユナイテッド シネマの都−ビデオ |
  • TOP ▲

夫が突然、いなくなって・・・  映画 「まぼろし」

「スイミング・プール」で、この監督のファンになりました。「8人の女たち」はあまりすきになれなかったけど・・・。たまには静かに、おフランスの映画もいいんじゃない。アクション映画ばかりじゃ、折角の脳
  • [2007/07/25 05:15]
  • URL |
  • 本読め 東雲(しののめ) 読書の日々 |
  • TOP ▲

『まぼろし』 夢か現か幻か

『まぼろし』マリー(シャーロット・ランプリング)とジャンは、連れ添って25年になる幸せな夫婦。今年も、いつもの夏と同じように、フランス南西部のランドにヴァカンスに出かけた。ヴァカンスの2日目、マリーが浜辺で午睡している間に、海に入った夫は、手がかり一つ残...
  • [2008/04/30 19:38]
  • URL |
  • *モナミ* |
  • TOP ▲