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みなさん、さようなら

「みなさん、さようなら」を観た。
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ある日、ロンドンで働く証券ディーラー、セバスチャンは、カナダ・モントリオールに住む母ルイーズから彼の父の病状が悪化しているので帰ってきて欲しいとの連絡を受ける。その父、大学教授のレミは女ぐせが悪いために、これまでさんざん家族に迷惑をかけてきた人物。セバスチャンは、そんな父のような人間にはなるまいと別の道を歩んできたのだった。それでも彼は葛藤を抑え、帰国することに。そして、父が末期ガンと知ったセバスチャンは、“友人を呼んで楽しい病室にして”という母の頼みを聞き入れ、さっそく行動を開始する。

これは良い邦題ですね。「みなさん、さようなら」とニッコリ笑って最期の時を迎えられたら・・・こんな死に方ってなかなか無い。この作品では、そんな「理想的な最期」が描かれています。

といってもこの映画で最期の時へ向かう女たらしの偏屈親父、死を目前にして悟りを開いたわけでも無ければ、恐怖を隠して気丈に振舞うわけでもない。「この世から消えてしまうなんて、未だ受け入れられない」とか「あんなことやこんなこともしておけばよかった」とか、ストレートに「死ぬのが怖い」なんて、もう未練タラタラですよ。

そんな未練タラタラのエロ親父をいかに気分良く送ってやるか、そんな母の頼みから偏屈親父と確執のあったエリートビジネスマンの息子がしぶしぶ海外での仕事を切り上げて親父の元へやってくるところから物語は始まります。久しぶりに会ったのに相変わらず親父は偏屈で頑固、すぐに口論になってしまい、末期ガンの親父にむかって「くたばれ!」なんて台詞を吐いてくれるから笑えます。

しかしながら、あいかわらずの親父でも死ぬ時くらい気分良く送ってやりたい、そんな思いは息子も母と同じで、あの手この手で最期の舞台をセッティングします。臨時講師だった大学の同僚、女たらしだった親父の過去の愛人達、挙句の果てには生徒に金を握らせて見舞いに来させるなんて裏工作までやるあたり、さすがはエリートビジネスマンといった感じでこの周到さは私としても見習いたいところです。

そんな裏の力が働いてるとは露知らず、お友達が集まってくれた病室は賑やかで、昔話に花が咲いて親父の気分も上々です。「大学講師で女たらし」の親父の友人達らしく、その話題は政治的な色の濃い話題から、お下劣な話題まで幅広いんですが、どれもスマートかつユーモラスで、どのハナシも最期にキチンとオチがついてるのが良いですね。このへんは作り手のセンスを感じさせます。以前に半年ほど東京に住んでたことがあったのですが、向こうの人ってオチのないハナシを平気でするんですよ。「あのさ、昨日さ~」なんて話し始めるもんだから一体ラストにどんな爆笑オチが待ち構えているのかとワクワクしてしまうじゃないですか。そしたら「~だったんだ。」で会話が終わるんです。まさかと思って「・・・それで?」と聞くと、「え・・・それだけだけど」ってなもんですよ。「終わりかい(゚Д゚)!」なんて何回つっこんだかわかりませんよ。この行き場を失った期待感をどこにぶつければいいんだとその度に憤慨したものです。多少の脚色や嘘・偽りも面白ければオッケーですからちゃんとオチつけてもらわないと困ります。

そんなわけで家族とお友達に囲まれながら最期の時を迎えるエロ親父なんですが、やっぱり怖いもんは怖いし、痛いもんは痛い。でも、笑いとみんなの愛に囲まれていれば、その苦しみも和らぐんですね。誰しもがいつかは迎える最期の時、やっぱり皆に囲まれてニッコリ笑って「みなさん、さようなら」って手を振りながらその時を迎えたいな、そんな風に思える作品でした。


「みなさん、さようなら」
★★★★☆☆

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※親父が息子に向かって言う最期の台詞、「お前のような息子を持て」。この台詞にガツンとやられてしまった。子供って自分の生きた証しなんですよね。三十路が迫りつつある年齢で、結婚のケの字も見当たらない今の自分の未来が少々不安になってしまった(笑)年老いた時に一人ぼっちなのはイヤだ~。って、この年で言う台詞じゃない気もするけど、今のままじゃこの親父のような最期は絶対に迎えられない!
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

Comment

父親が死ぬ時

私は悲しみを感じるのか。いや、ほんまに。
うちの父親も偏屈で、逃れたい一心で親元を離れて10数年
年も取れば丸くもなるだろうと思いきや
人間、本質はそう簡単には変わらない。
はっきりいって、楽しい思い出なんて思い当たらない。
…でもね、どんな人間でも父親にはかわりないんだな。
それだけは確か。

最後の写真がなんとも言えない感じですなー。

「お前のような息子を持て」ってのも、正に良いセリフ。
これは今度借りてみよう(・ω・)

最近、両親に初めてなれそめってのを聞いてみたら、「ナンパ」って返ってきてちょっと衝撃

(ノ∀`)パパー

自分の最期ってのはできるだけ選びたいよね。
自分の好きな形で、自分の納得できる内容で。

いつか必ず死ぬってのを考えると少し怖くなったりするけれど、笑いながら爽やかに死にたいモンですな。

しかし、自分の歳でこんな事を考えてていいのか、とも思ってしまうw

>yupuさん
ムム、リアルタイムカキコ。

この映画はあくまで「理想的な」最期だからねぇ。まさしく絵に書いたような。現実では色んな要因からこうはいかないんだろうけど・・・

親との確執ってのは、当人にしかわからないから何とも・・・でも、どうしても許し難いこととか、相容れない部分、認められない部分ってのも、時と共に変わっていくのかもしれないな、なんて思います。10年前に「絶対ありえない!」って思ったことも今思えば「それもありかな・・」なんて思えたり。肯定は出来なくても、認められるようになるっていうか。それは根が深ければ深いほど長い年月を要すだろうけど。

なにより、人間年をとったら嫌なことでも無理くり好意的に思いなおすようになるのかな、なんて(笑)だから、どんなことでも「思いなおした時用」の心のスペースは空けておくべきかな、なんて思ってます。

>ほおずき氏
最期の写真、もうコレ観てるだけでホッコリできる写真でしょ(笑)実はこの写真、映画のワンシーンじゃなくて、撮影現場でのショットなのだ!(後列の真ん中が監督)。内容自体はあんまりメリハリもなく淡々としてて好みの別れそうなカンジなんよね。ほぉずきくんのお気に召すと良いんですが。

ナンパも一つの出会いさ!言うなら、たまたまそこに通りかかった人と一生連れ添うんだから、それこそ「運命の人」ってカンジじゃないですか!パパリン男前。

邦題だけだと、作り手の意図が

伝わり難いと感じました。かといって原題の『蛮族の侵入』、っていうのも硬いんですがw
ただ、原題の方が9.11の映像で示されるアメリカ主導の資本主義への警鐘とか、社会主義オヤジvs資本主義息子の構図や、価値観の多様性なんかは理解し易いと思います。「みなさん、さようなら」じゃ監督の意図は伝わり難いので、原題も注目して欲しいと個人的には思いますね。

「ターミナルケア」や「死の受容」という重い、下手するとお涙頂戴な話になるところですが、そういう方向性じゃないのが良かったです。

>linさん
「みなさん、さようなら」って邦題、私のような政治的意図をほぼ無視した見方をする人間にとっては良いタイトルだと思うんですけど、監督の意図したと思われる内容とは完全にかけ離れたタイトルですよね。「蛮族の侵入」という原題からもわかるように、おそらく監督がより強く伝えたいテーマは、そちらの方なんだろうな、なんて思いました。

個人的には「民主・資本主義社会にドップリ浸かった人間の民主・資本主義社会への警鐘」は正直もういいよーって感じだったので(笑)、そっち方面はほとんど無視してましたw

それにしてもこの映画、「理想的な死へと至る道」というテーマと「そっち方面の政治的意味合い」のテーマが分離してしまってるような印象を受けました。邦題つける人も悩んだでしょうね。原題を完全無視した、もう一方のテーマをタイトルにもってくるくらいですから・・・これ、監督怒らなかったのかな、なんて特典のインタビュー観ながらちょっと心配になってしまいました(笑)

ご無沙汰してます。
尊厳死をめぐる、baoh氏の感想に、改めて「海を飛ぶ夢」をどうご覧になったか、比較してレビュー楽しませていただきました。
この分野、まだまだbaoh氏の感性は発展途上の余地を残してる類まれな器の大きさに感心(笑
これから益々、色んな作品に突っ込んでいってくださいね。

>たどんさん
こんばんは!
あ、海を飛ぶ家のレビューをご覧になってしまわれましたか。あれ、自分でも全然まとまらなくて未だに受け止めきれない作品なんですよね。

そうそう、この作品も最期は「尊厳死」でしたね。この「死」ってテーマは語るに語れませんね。正解なんて無いし、何よりその時の自分のおかれた環境によって大きく変わりそうで・・・なので、今現在の自分の感じたことをそのまま正直に書いてます。そういう意味ではこれからもどんどんその考えは変わっていくかもしれませんね。

明確な正解が無いだけに「発展」というより「変化」な気もしますけど(笑)器なんておちょこの裏側くらいしかないこんな私ですが、今後ともお付き合いお願いします(笑)

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「みなさん、さようなら」

 みなさん、さようなら「みなさん、さようなら」 ★★★Les Invasions barbares(2003年 カナダ・仏 )監督:ドゥニ・アルカン キャスト:レミ・ジラール、ステファン・ルソー、マリ=ジョゼ・クローズ、マ
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