スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

16歳の合衆国

「16歳の合衆国」を観た。
4988126202477.jpg

16歳の少年リーランドはある日突然、知的障害を持つ少年ライアンを刺し殺してしまう。殺された少年はリーランドの恋人ベッキーの弟。リーランド自身も一緒に遊ぶなどよく面倒を見ていた。周囲の誰もが衝撃を受ける中、彼は逮捕され、矯正施設へ収容される。

タイトルやあらすじから、少年犯罪を描いたどちらかというとマイナー系の映画だと勝手に思ってたんですが、観始めるとどこかで観たことある顔がでるわでるわ、中々のキャストの作品だったんですね。


主人公は完全犯罪クラブの男の子だし、父親はケビン・スペイシー、矯正施設の先生はドン・チードルで、主人公の恋人の姉がどこかでみた顔だなぁと記憶の糸を手繰ると・・そうそう、ブロークバックマウンテンで旦那を男に寝取られた妻役を演じたミシェル・ウィリアムズでした。そして何と言っても姉の婚約者役をシリアスに演じているのが「アメリカン・パイ」の童貞男なのが個人的に最もビックリしたキャスティングです。あのアホ男のイメージが強すぎて「おいおい、このキャスティングはいいのか?」と思ってしまった。なんでこんなシリアスな作品にアメパイくらいしかヒット作のない彼が配役されたのかよくわかりません。

「チャンスは高校最後のプロムの夜だ!」このイメージが強すぎて・・・
c0104.jpg

そんな濃いメンバーで展開されるこの作品。なんとも不思議な雰囲気ですね。主人公が知的障害を持つ少年を刺殺するところから始まるストーリーなんですが、劇中は「何故その行為に至ったか」を過去を振り返りながら淡々と描かれています。何が不思議かというと、重いテーマなはずなのに、どこか柔らかい雰囲気すら感じさせる演出なんです。殺人を起こした主人公を断罪するでもなく、彼を生み出した社会を糾弾するわけでもない。ただ、16歳の少年の想いにスポットを当てているだけです。そして個人的に、この少年に共感できてしまったのが少々怖いところです。

皆と同じように笑えない、怒り方がわからない、感情を内に封じ込めるうちに何も感じなくなってきてしまう。周囲の笑っている人たちの裏に潜む悲しみを勝手に想像し、陰鬱な気分になってしまう。なんだか全てが虚構で無価値に思えてきてしまう。そんな思春期の頃の想い、経験したことのある人も少なく無いでしょう。それを感じながらも、周りに合わせて差し障り無く社会生活を送れるかどうか、そこがこの少年と、その時期を脱して今に至る私たちとの違いでもあります。

何故彼は刺したのか、悲しみを人一倍感じるがあまりの凶行。その行為によって救いがもたらされると発作的に、そして強烈に思ったのかもしれない。しかし行動を起こす前に自制を効かすには、彼はあまりに深く自分の世界に入り込んでしまっていたんですね。そして彼がそうなるまで気づかなかった無責任な父親を通して、親子の関係のあり方もさりげなく描かれているのも好印象です。

少年と父親がそれぞれの場面でいう台詞「後悔している」。この台詞がこの作品を単なる殺人者肯定映画にしていないポイントでしょう。この台詞に、「全てが間違いだった」という強いメッセージを感じることができます。

作品としてはなかなかの佳作だと思うんですが、唯一腑に落ちないのがミシェル・ウィリアムズの婚約者であるクリス・クライン(アメパイの童貞男)の存在。はっきり言って彼の存在理由がこれっぽっちも見当たらない。役どころも中途半端で劇中の彼のポジションも曖昧だし、途中で挟まれる彼のエピソードなんか相当どうでもいいです。そして最も最悪なのがオチ!何の前触れも無くいきなり強盗してアッサリ捕まった時点でまさかとは思いましたが、その通りのラストに至っては「ぉぃぉぃ・・・」ってな感じで失笑モノですよ。あのオチはいらないでしょう。っていうか、彼の存在そのものが蛇足です。彼の過去の出演作からくるイメージを考えるとどう考えてもおかしいキャスティングだし(しかも知名度は無名に近い)、役としても不必要としか言いようがない。出来上がった脚本に無理やり一役付け足したような印象ですよ。彼の役を抜いてもストーリーやこの作品のもつメッセージに何の影響も与えないし、彼がいなければもっと作品としての評価もあがる内容の作品だと思います。


「16歳の合衆国」
★★★☆☆☆(童貞男のせいで★ひとつ減点)

記事が気に入りましたらクリックお願いします!→映画ブログランキング


us16.jpg

2538012_i_1_k_.jpg

「やっちゃいました!」A級戦犯、なんちゃってキアヌのクリス・クライン
050205_klein_sm.jpg

スポンサーサイト

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

Comment

<はっきり言って彼の存在理由がこれっぽっちも見当たらない
クリス・クラインが断罪してしまうという帰結ですね。
そんなに最悪だとは全然思いませんでしたw。確か息子を失った一家も崩壊しそうになっている状況を見て、リーランドに復讐の為故意に彼は強盗したんでしたよね(記憶違いかな)。
リーランドの殺人の動機もそうですが、新たな悲劇を生んでしまう不条理もこの映画の「痛さ」の醸成に一役買っているという印象だったですw。このエピソードも含めて観る人間に少年犯罪の根の深さを問うものではないかと感じました。
主人公の死で動機の真相が更に掴み難くなる、という点は「エレファント」っぽいですが、個人的にはあまり理由づけしないで観客に丸投げでも良かったとは思いますw。

こんにちは★(← ・・・)

ちょっと内容の方はうろ覚えですが、凄く好きな作品です。

人殺しは悪い事ですが、この犯人はどこか憎めないんですよね。
優しすぎるがゆえに起きた犯罪・・・。
今、話題の鈴香容疑者とは大違いですねー。

ライアン・ゴズリングの顔は苦手だけど、役者としては良いですよね。
演技に深みがある。
新作の『ステイ』が観たいな。

>linさん
あれ、思いませんでした?私だけですかねw
>>リーランドに復讐の為故意に彼は強盗したんでしたよね(記憶違いかな)。
そうですそうです。ただ、言ってしまえば赤の他人の彼がそこまでする動機が弱すぎる気がしたんですよね。婚約破棄されたのは事件の前だし、それで情緒不安定になってたという考えもできますが、それにしたって・・・他人の家族の為に自ら犯罪者になって刑務所に乗り込んで殺しに行くなんて、あまりにもリアリティが無さすぎるというか・・・事実を元にした脚本らしいですが、どこまでが事実なんでしょうね。

それに劇中からずっと彼の役割に違和感を感じてたんですよね。彼だけ役のイメージが固まっていないというか、なんだか中途半端な存在のような気がして。試しに、彼を抜いた状態でこの物語を考えてみると・・・そのほうが何だかシックリくるストーリー展開になりません?wそうするとホントにエレファントのようになってしまいますが、この作品ではそのほうがずっと自然だと感じました。

ってか、主要だと思われる人物をとっぱらっても物語として成立するという時点で・・・何かがおかしいwこう感じるの私だけですかねぇ。

>マイコさん
こんにちは*(←( ゚∀゚))
この憎めない犯人という描写も結構きわどいですよね。決して殺人者を肯定する内容ではないんですが、加害者側を描いた作品としては、絶妙なラインで犯人が一人の人間として描写されていると思います。
非公開コメント

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「16歳の合衆国」

 16歳の合衆国「16歳の合衆国」 ★★★☆THE UNITED STATES OF LELAND(2002アメリカ)監督:マシュー・ライアン・ホーグキャスト:ライアン・ゴズリング、ドン・チードル、クリス・

16歳の合衆国 /THE UNITED STATES OF LELAND

16歳の平凡な少年が理由もなく起こした罪劇場公開を観逃した作品。ジャケット手前にいるくるくるパーマの少年が、ライアン・ゴズリングだったとは思わなかった{/ase/}日本でも日々起きている、10代が引き起こす少年犯罪がテーマ。同様のテーマを扱うミヒャエルハネケ作品(「
クリックお願いします
br_decobanner_20100209113847.gif br_decobanner_20100209114432.gif
プロフィール

baoh

  • Author:baoh
  • 【評価基準】
    ★★★★★★

    ★★★★★☆ 
    最高!
    ★★★★☆☆ 
    (・∀・)イイ!
    ★★★☆☆☆
    見所アリ
    ★★☆☆☆☆
    微妙
    ★☆☆☆☆☆
    制作者でてこい
    ☆☆☆☆☆☆
    市中引き回しの上斬首


    ご意見・苦情・恋文などはこちらからどうぞ
    →baoh77@hotmail.com


My favorite
Evanescence - "Bring Me To Life"        映画「デアデビル」テーマソング

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
MOVIE NEWS

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

お友達Blog
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。