スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

髪結いの亭主

「髪結いの亭主」を観た。
mari_coiffeuse.jpg

子どもの頃のセクシュアルな幻想から、女性の理容師にあこがれを持ち続けたアントワーヌ。中年にさしかかった彼は、ついに念願の理容師マチルドと結婚する。

うむむむ・・・ただ、見入ってしまった。

これを芸術的と言わずに何と言うのか。

官能と狂気、この2つの要素が静かに、そしてゆったりと混ざり合った劇中の雰囲気が何とも心地よい。この2つの要素を描かせるとやはりフランス映画の右に出るものはないと、改めて思わされた。

少年の頃、床屋のおばさんの体臭に恍惚とし、服の隙間から覗いた乳房に興奮するという経験から、中年になっても「髪結いの亭主」を追い求める主人公。こんな一歩間違えると変態映画になってしまいそうな要素でも、この映画では非常に奥ゆかしく上品に描かれています。
hairdressershusband002.jpg

というのも、映像の一つ一つ、全てのシーンに質量が感じられてしまうんです。「質量」っていうのも変な表現だけど、重さを感じてしまう。それも心にのしかかってくるような重さではなく、染み入ってくる類のもの。何気ないワンシーンのはずなのに、その一つ一つが溶け合って、観ている者の心にじんわりと染み込んでくる。こんな映画なかなかない。

「子どもなんて必要ない。ただ、君だけがいればいい」


幼い頃からの偏執的な愛情をマチルドという女性によって具現化したアントワーヌ、果たして彼は本当にマチルドを愛していたのか、具現化した自分の願望にのめりこんでいただけなのか。彼にとってはそんなことは重要なことではないのかもしれない。その時の彼には、願望=愛なのだから。
376_od.jpg

しかしそんな彼の想いに応えるマチルドにも、愛するが故に静かな狂気が芽生える。

「ひとつだけ約束して、愛してるふりは絶対しないで」


二人の愛が絶頂の時にとった彼女の行動。身を引き裂かれるほどに愛してしまった女の哀しい結末。彼女はあくまで「現実」すぎたのかもしれない。

彼女のいなくなった床屋で、ひとりぼんやりとクロスワードをするアントワーヌを見て、やはり彼は自分の具現化した欲望を愛していただけだったのだろうかと思わされる。

そんな中、来店した客といっしょに陽気な踊りをしたと思ったらフと我に帰り、洗髪中だった客にむかって

「もうすぐ妻が帰ってきますから」


激しい愛を永遠のものにしたマチルドに対し、彼は愛する人を失った事実を受け入れられずに、妄想のなかで生きていくのだろうか。

なんとも物悲しい愛の物語。


「髪結いの亭主」
★★★★★☆

記事が気に入りましたらクリックお願いします!→映画ブログランキング


hairdressershusband006.jpg

hairdressershusband004.jpg

hairdressershusband007.jpg


※来店する個性豊かな客達、「死の場所」だと言う老人施設、天井のヒビ、冒頭の暗闇の中で一人頭を刈る主人公、そして意味深な台詞の数々・・・受け取り方は人それぞれだろうけど、私はどれも二人の愛のあり方と結末を暗示しているようにしか見えなかった。
こういう要素から想いをめぐらせるのもフランス映画の醍醐味ですね。

これから散髪行くたびにこの映画を思い出しそうだ(笑)
スポンサーサイト

テーマ : 今日のレンタルDVD/ビデオ
ジャンル : 映画

Comment

こんにちは★
旅行から帰ってきました~。

『髪結いの亭主』好きです。
フランス映画独特の雰囲気を存分に味わえる作品ですよね。

直接的なエロのシーンはほとんどなかったのに、全編を通してエロチックな雰囲気が流れてたのが印象的です。

色んなフェチがありますが、まさか女理容師フェチまであるとは・・・(笑)

私も髪結いの亭主になって、働かずに愛する妻だけを見て生活したーい!!

トラックバックさせてもらいますね。

>マイコさん
おかえりなさい。旅行良いっすね~。うらやましいです。

この映画、ほんとエロいですよね。誰も脱がないし、そういうシーンも少ないんだけど、なんかエロいw官能的って表現がピッタリですよね。

旦那がニートなのは笑えるけどw

TB、感謝です。

>私はどれも二人の愛のあり方と結末を暗示しているようにしか見えなかった。

まったく仰る通りで、どんなカットにも意味が込められていると思いますね。
この作品は奥行きが深くて咀嚼するのが結構大変な作品だと思います。
観る側が年を取るにつれ解釈が変わる作品でしょうね…。

>カゴメさん
コメントありがとうございます。
良い映画ですよね。
>観る側が年を取るにつれ解釈が変わる作品でしょうね…。
年をって一定のラインを超えると、理屈っぽい解釈はしなくなるかわりに、感じるものの深みが増しそうですね。

年配者がこの作品をみてどう感じるのか、とかにも興味がありますね(笑I


baohさん、TBありがとうございました。
それとリスト追加の件もお礼申し上げます。
こちらもリンクさせていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

baohさんのこの作品への想いは相当強いですね。
フランス映画ってどうしてこうも独特の雰囲気になるんでしょう?
甘美な世界に入り込んでしまいます。
物悲しい別れになってしまったけれどステキな愛でしたね。

>ジュンさん
こんばんは。
この映画の雰囲気って、いかにも「フランス映画」ってカンジですよね。そしてこういう雰囲気って何か好きです(笑)映像もそうだけど、言葉の響きもあるかもしれませんね。これが英語だったらまた違った感じになりそう。

そして、こちらこそ今後ともよろしくおねがいします~。
非公開コメント

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

髪結いの亭主

『髪結いの亭主』あらすじ『子供の頃から“髪結い”の奥さんをもらうことだけを夢見てきたアントワーヌは、人から中年と言われる年齢にいたって、まさに“夢にまで見た”理髪師の女性・マチルドにめぐり会う。出会ったその日に求婚した彼の想いをマチルドは受...

髪結いの亭主

髪結いの亭主監督:パトリス・ルコント出演:ジャン・ロシュフォール , アンナ・ガリエナ , ロラン・ベルタン , フィリップ・クレヴノ , ジャック・マトゥ , ヘンリー・ホッキングStory仏映画界の巨匠パトリス・ルコント

★「髪結いの亭主」、静寂なる激情★

「髪結いの亭主」(1990) 仏 LE MARI DE LA COIFFEUSE監督:パトリス・ルコント製作:ティエリー・ド・ガネ脚本:クロード・クロッツパトリス・ルコント撮影:エドゥアルド・セラ美術:イヴァン・モシオン編集:ジョエル・アッシュ音楽:マイケル・ナイマン出演:ジャン....

『髪結いの亭主』

190.髪結いの亭主製作年度 1990年 製作国・地域 フランス 上映時間 80分 監督 パトリス・ルコント 脚本 クロード・クロッツ 音楽 マイケル・ナイマン 出演 ジャン・ロシュフォール お勧め度子供の頃から女の理容師と結婚したいという願望を抱...

髪結いの亭主

【LE MARI DE LA COIFFEUSE】1990年/フランス 監督:パトリス・ルコント   出演:ジャン・ロシュフォール/アンナ・ガリエナ/ロラン・ベルタン女性の理容師さんに子供の頃から強い憧れを持っていたアントワーヌは
クリックお願いします
br_decobanner_20100209113847.gif br_decobanner_20100209114432.gif
プロフィール

baoh

  • Author:baoh
  • 【評価基準】
    ★★★★★★

    ★★★★★☆ 
    最高!
    ★★★★☆☆ 
    (・∀・)イイ!
    ★★★☆☆☆
    見所アリ
    ★★☆☆☆☆
    微妙
    ★☆☆☆☆☆
    制作者でてこい
    ☆☆☆☆☆☆
    市中引き回しの上斬首


    ご意見・苦情・恋文などはこちらからどうぞ
    →baoh77@hotmail.com


My favorite
Evanescence - "Bring Me To Life"        映画「デアデビル」テーマソング

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
MOVIE NEWS

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

お友達Blog
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。